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omolo.com/text : オペラシティ プロジェクトNの展示にあたるメモ

Last Update : 2006/12/22

オペラシティ プロジェクトNの展示にあたるメモ(06/07/26)

                       山内崇嗣



■絵画制作にあたり考える「擬」のテーマ
・あひるうさぎ
 アヒルウサギを見たとき、それがアヒルかウサギに見るとき、アヒルに見えたときはウサギ風のアヒルにみえるし、ウサギに見えるとき逆にみる形として、アヒルウサギの絵はある
・絵画
 絵画とは視覚を物理的な平面上に再現しようとしてしきれない、物理的な壁の一部のストラクチャーにもなりきれないところで、上手に定着されたものが絵画のありかたとして優れている。
・日本の洋画
 素材や技法が舶来で輸入されつつも、独自の発展をとげ、音楽の洋楽ではなく洋食や洋館のように、国内にいて舶来風な様式に見え、海外にそれらしきものを見かけそうで見かけない、そのような様式の上で、日本の洋画というものはあった。しかし、現在グローバル化が進み、そのような見え方自体、ドメスティック化、過去へのノスタルジーになりつつあるところがある。

■展示にあたり
 廃墟マニアが観光に出向くように、僕が廃墟なった近現代の美術館で楽しく見学する風景を想像しつつ構成するように、そういう風景ができあがるように展示を構成し作品を制作した。また素材をシンプルなキャンバスに油彩という形式に統一するように留意した。
 そのため壁面上、リーフレット上、作品が抜けているような壁や、リーフレットの番号で欠番のある構成にした。(ちなみに、欠番は、1, 23, 33, 40, 54-57, 59、1枚の無地のキャンバス、51枚の描かれたキャンバス)

 キャンバスは既製品キャンバスのS.P.F.M.のサイズと企画を組み合わせて構成している。

 今現在の現代美術もしくは美術の作品を見ていて思うのは、経済や映像や建築など、その他のジャンルとの結合によってあり方の拡張性と展開も結構なことですが、その半面、美術の展示が空洞化している印象も受けます。そこで今自分に出来ることを考えたとき、ある程度の現状は踏まえつつ、美術とは何か?絵画とは何か?を考えて、僕は改めて高橋由一やクールベあたりから彼らの作品の見え方や捉え方を考え直す必要があるように思います。高橋由一やクールベも今から100年ほど前の作家ですが、100年ぐらい過去の作品を見て、今から100年後に出来るかもしれない作品を想像しつつ、今自分に出来ることをなるべくやりたいです。

あと自分の経験ですが、昔の美術館というところは、暗くて恐くてワクワクするところもあったけど、今の美術館は明るくて綺麗で楽しいけれど妙に後味が残らない印象もあります。


■作品タイトル
2003年ごろから今のような比較的オーソドックスな油絵を描き出して、作品タイトルは、作品サイズがタイトル名で良いかと思っていたが、今回の展示にあたり、管理しづらいことに気づき、「作品サイズ+日付」でタイトルとすることにした。日付は正確に完成日を指していないけれど、大体の年月は、そのころという目安で、連作として作られた物は日付が1日づつずれていたりする。


■個別にガイド
02-04 一橋大学(設計:伊東忠太 所在地:東京都国立市)

06 立川のトタンで出来た鬼瓦。本来、磁器で出来た鬼瓦がトタンで出来ていて面白く見えた。(所在地:東京都立川市)

07 旧三重県庁舎(設計:清水義八 所在地:明治村)
日本瓦の屋根に、エンタシスの様な柱の組み合わせが変だなと

08 住友銀行広島支店「人影(ひとかげ)の石」と呼ばれる階段(所在地:平和記念資料館)

09-10 小笠原伯爵邸(設計:曽禰中條 所在地:東京都新宿区)


13 ポロックの「カットアウト」式(大原美術館)に、風景画を描いて一部コノハムシのシルエットを切り抜こうとしたけど、あまりにも解りづらく失敗したなと思う。

14 展示のアクセントに全く無地のキャンバス。概念的なものでキャンバスなら素材は何でも良い。あまり塗装や描画されていないキャンバスの作品でも、近くに全く描かれていないキャンバスがあれば、何か描かれているように見えるだろうと。制作年は、今から大体100年後、尺という単位や畳など100年以上前の単位や物が現在もあるので、100年先でもキャンバスというものはあるだろうと思い用意した。


24-25 高橋由一の「左官」という絵の部分模写。高橋由一が左官という題材で描いているのは面白いと思ったから。
(模写した部分はこの図像では殆どわかりません)
絵画に対する僕の考えで、支持体に塗料を塗ればストラクチャーになり、塗料で描けば絵になる。高橋由一はクールベみたいところがあって絵の具の即物性がある描き方をしてるところもあり、そういう人が左官の作業、現在で言うところの塗装工と大工の中間の作業を高橋由一の描き方で描かれているのは面白いと思います。

27-29 キリストの聖骸布そのものや、それを扱った作品を見ると、写真や版画や絵画について思うテクノロジーがあるので題材にしてはみた。

30 ここで展示されてる殆どの作品は、シリコンで描くようにマスキングされ油彩し剥がされている、そういう技法を一番最初にやった作品。昔の心霊写真を写したもの。

32 立川のとある農家の庭、その家は家を囲むように線路や踏切や信号が置かれている。

34 岸田劉生の「壺の上に林檎が載って在る」の構図

35 ウォーホルの「ピス・ペインティング(小便絵画)」や、村山槐多「尿する裸僧」など小便する絵に思うところがあって

36 バルザック「知られざる傑作」に出てくる絵に着想を得て

39 昔自分が描いた絵のリメイク

41-58 オニグルミという落葉樹で冬にかけて見られる葉痕と冬芽。何故、植物の部分を?と聞かれれば、アヒルウサギみたいものだと思ったから

60-61 星砂


※建築のシリーズで本当は、国会議事堂がやりたかったけど、空間とプロセス的に間に合いそうにありませんでした。。。。

  
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