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現代美術コレクターのお店訪問

Last Update : 2003/02/04

 大阪府枚方市船橋本町にある町のケーキ屋さん「トライアングル」(オーナー松浦隆広)に訪れた。車で向かう途中見える風景は、どこにでもある郊外の風景、大型フランチャイズのお店が並び、そのお店も特別豪華でブルジョア的なこともなくごく普通の町の美味しいケーキ屋さん。店内に入ると、船越桂戸谷成雄森村泰昌と何か美術雑誌で見かけた作品が並ぶ。
お店に訪れる数日前、オーナーの方に問い合わせ訪れる時間のアポは取らなかったものの、ご挨拶したところ直ぐに電話で者だとわかってくれたらしく、突然な僕らの来店にかかわらず丁寧に僕らに色々お話して頂いただけた。
 すると、奥の方から割と初期の宮島達男のダイオードの作品や、村上隆のフィギュアや、よく購入する画廊から送って頂いた購入されたらしきオラファー・エリアソンや、ピピロッティ・リストなど作家の活動ファイルなどどんどん出して頂いた。またお店の先に梱包されていた河原温の大型な作品なども所有されているようでした。また作品が大型で自宅で管理出来ないものは、購入につきお金だけおさめて画廊の倉庫に委託して管理されていたりするそうです。
 そのお店に僕が訪れた時に覚えてる会話をいくつか。



■作品のみえかた
Q. 初めて購入された作品は何ですか?
A. ヒロ・ヤマガタなど

Q. 子供さんが描かれた作品と、希望されて苦労されて購入された作品とどちらが大事ですか?
A. 凄く難しい、判断しかねてしまう。

Q. 例えば河原温の日付の作品を、結婚記念日など個人的な思い入れなどもって購入したいですか?(作者の作品に対する意図とは別の思い入れがあって作品をみることは出来るかというか)
A. したいけど、なかなか手に入らない。

Q. 村上隆のフィギュアの作品がコレクションに含まれてるがアニメに興味ありますか?
A. アニメのことは良く知らないが、食玩のオモチャなど集めることは好きだ。(実際店内に隙間を縫うように、そのコレクションが並べられていた)


■作品の売買について
Q. 作品は作者から直接購入、又はセカンダリー(転売された作品)をコレクターから直で購入することはありますか?
A. あまりない。ギャラリーから購入することがみんなにお金が分配されて、作品の認証が明快になるので、ギャラリーから購入したいと考えてる。

Q. 作品を転売することはあるか?また投資目的で作品購入を考えることがありますか?
A. 作品を転売することはある。投資目的で作品は買わないが作品を評価と経済で損はしないように購入したいと思ってはいる。

Q. 作品の売買を画商と交わす時、コレクターと画商の間で交わす書類(例えば、転売先は伝えるとか、作品の貸出条件など)のようなものはありますか?
A. ない。信用関係で成り立ってる。


■情報収集や公開
Q. コレクター同士、又はアーティストの方と直接交流することはありますか?
A. あまりない。ただ知り合ってるコレクターのお宅には訪れたいと考えてる。

Q. 東京の方のギャラリーや、地方の美術館などチョクチョク訪れますか?
A. 仕事が忙しくてなかなか訪れられない。

Q. 情報収集はどのようにして知るか?海外美術雑誌など目を通しますか?
A. 良く作品を購入する画廊から直接送られてくる、ポジスライドなどで作られて資料が送られてきて、それを見て見当したり、国内誌で目を通して見当する、クリスティーズのカタログに目を通してギャラリーを通じて委託で作品を落札してもらう場合もある。しかし、そういう紙などの媒体だけでなく、アーティストや批評家のレクチャーなど本当は色々出て色々な話を聞きたいと思う。

Q. コレクションした作品を何処か作品の展示に向いたギャラリーでコレクション展をしたいと思いますか?(例えば横浜美術館であったイヴォン・ランベールのコレクション展のような)
A. 例えば展覧会を開く方の依頼などで作品の貸し出しはしている。しかし自分のコレクションをまとまった形で展示することは今のところあまり考えていない。



 お話を伺った僕の雑感として、アートのコレクターと聞くと、凄い資産家と想像してしまいがちがだが、特にそのような方には見受けられなかった。だけどそれなりにアートに対して出来ることと熱意や関心を熱心に注ぎ込んでいるのは感じられたし、全国を見渡してもこのような現代美術のコレクターは指折りだと思えた。
 しかし、作品の価格を想像すると非常に高額と見受けられるものもあり、使うお金の何処かを切りつめてアートに関心持たれてるようだった、また作品の貸出もされてるようなので、作品によっては、賃貸収入も起こりえると考えた。

 作品をまつわるお金の動きとしてギャラリーを通して購入すると、認証の交付や、情報の記録、またお金の分配などで作品を作る人売る人に分配されてその世界が潤うことではあるけれど、誰でも思うのは「安かろう悪かろう」でもなく、良いものを安く手に入れたいと思うもの、そこで例えば作者やコレクターの所有する作品を、直接コレクターに売買する場合になんらかの認証や記録を残すことが出来たとするなら?現行のギャラリーを経由した売買でなく、こっそりと陰での取引を起こることなく、作品が通常の価格よりも安く取引できるルートを造りえると思える。

 情報のやりとりに関して、規模の小さな文化ほど、一部のグループに情報過多になりやすく別のグループに情報が枯渇することはよくある。具体的にはギャラリスト、出版関係、それにまつわる業界人などの間で様々な話題が過多になりすぎる。そこで彼らだけでなく、アーティストやコレクター、関心のある方々が今まで情報を彼らから受けることが多かったが、そのような人々も、自分の関心あることも、誰かが関心あると思うことも発信し意見交換できるとうな行動や物事も必要で、例えばwebを使ってそのような意見交換を出来ることは容易に想像がつくが、美術の世界はまだまだ、たとえばweblogやテキスト系サイトのように、早さとある程度の量と棲み分けがちょうど良く情報交換される「村」のような世界もないので、webは使っても余りそれには頼らないで情報のやり取りの出来るようなことはなにかな?と考えたりした。