お話はいつもの押井守のテーマで出来ている。この映画で気になったのは効果について、例えばピカソは絵画において彫刻的なマッスを追うことで彫刻的な絵画を書いたことに対して彫刻においてその逆のプロセスを追うことで絵画的な彫刻をつくる事が彼の空間に対しての命題が表明されたが、押井は実写においてアニメ的、アニメにおいて実写的な表現を追っているように見えた。しかし全くどちらも技法が違う訳でも無く、共通して空間に霧がかかったようなぼかしが気になる。別の視覚表現において「ぼかし」はゲトハルト・リヒターの「ぼかし」とは写真との互換性を持てない事を表明する説明として、ロバート・キャパの「ぼかし」とは瞬間の出来事を見せないことで逆に感じさせるものとしてある(絵画で言うとマネのタッチの戯れに近い)。押井の「ぼかし」はそれとは別物に感じるのだけど果たして何かな?(2001/02/06)